【危険】下剤を飲み過ぎたら効かなくなるって本当?有効な便秘対策を薬剤師が徹底解説

下剤 飲み過ぎ

便秘で悩んでいる
1日でも便がでないと不安になってしまう
便が出ないとつい多量の下剤を飲んでしまう
下剤を飲みすぎたら、効かなくなるって本当?

今回はこんなお悩みにお答えします。

市販薬でも気軽に手に入る便秘薬ですが、長期間飲み過ぎてしまうと効果がなくなる可能性もあります。

そこで今回は下剤を飲み過ぎないための有効な便秘対策を紹介していきます。

今回の記事内容
  • 下剤はクセに「なる・ならない」薬がある
  • 下剤を長期で飲み過ぎたら怖いワケ
  • 便秘解消法6STEP
  • よくある間違い3選

特に以下のような人に見てもらいたい内容です。

  • 下剤を極力使わずに便を出す方法を知りたい
  • クセになる下剤を知りたい

この記事を参考に、下剤の特徴を理解して、下剤なしでも「するん」と排便できる身体作りを目指していきましょう。

目次

下剤を飲み過ぎたらクセに「なる・ならない」薬をサクっと紹介

下剤には大きく分けてクセになる薬、ならない薬があります。

ここでは以下2つを説明していきます。

  • クセに「なる」下剤
  • クセに「ならない」下剤

それぞれ見ていきましょう。

クセになる下剤は腸を刺激して便を出すタイプです。クセになる下剤は即効性があるため、好まれて使われている場合が多いです。しかし、長期間服用すると、下剤なしでは便が出ない状態になることがあります。刺激性のある下剤はクセになるため、長期での服用は避けましょう。

クセにならない下剤は便を柔らかくして出すタイプです。クセに「ならない」下剤は、「なる」下剤と比べ即効性はありません。その代わり、長期で服用してもクセにならないことが特徴です。ただし、腎機能の悪い人が酸化マグネシウムを長期で服用すると、高マグネシウム血症になる可能性があるので注意が必要です。

酸化マグネシウムを服用していて、以下の症状が出たときは直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

高マグネシウム血症の初期症状
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 立ちくらみ
  • めまい
  • 脈が遅くなる
  • 皮膚が赤くなる
  • 力が入りにくくなる
  • 体がだるい
  • 傾眠(眠気でぼんやりする、うとうとする)

代表的な市販薬

クセに「なる」下剤クセに「ならない」下剤
コーラック

ビューラック
ピコラックス
スルーラックS

タケダ漢方便秘薬
スルーラックマグネシウム

参考:丸石製薬株式会社、今日の治療薬2022

クセになる下剤を長期で飲み過ぎたら怖いワケ

クセになる下剤を長期間使い続けると、自力で便を出せなくなる可能性があります。長期間、腸を刺激する薬で便を出していると、大腸の神経細胞が傷つき、腸のぜん動運動(腸内の内容物を押し出す運動)ができなくなります。薬を飲んでも効果がないという状態になってしまいます。

クセになる下剤は即効性があり便利な下剤ですが、長期服用し続けると、薬なしでは便がでない状態になりかねません。

クセになる下剤は短期間で服用を中止し、長期服用しないように気を付けましょう。

参考:久里浜医療センター「慢性便秘症」慢性便秘症診療ガイドライン2017

下剤を飲み過ぎない!便秘解消法6STEP

今回は下剤を飲み過ぎないために、体質改善をして便秘を解消する方法について紹介します。

便秘解消法は以下の6STEPです。

  1. 現在服用中の薬を確認する
  2. 自分の便を確認する
  3. 生活習慣を整える
  4. 整腸剤を服用する
  5. 下剤を服用する
  6. 医療機関を受診する

それぞれ詳しく説明していきます。

1.現在服用中の薬を確認する

現在、飲んでいる薬を確認しましょう。理由は便秘の原因となる成分が含まれている可能性があるからです。

代表的な市販薬は以下の5点です。

  • ブスコパンA錠 
  • 大正胃腸薬P 
  • 新ルルAゴールドS
  • バップフォーレディ 
  • 新コンタックR600プラス 

市販薬では、腹痛薬・胃腸薬・風邪薬・頻尿薬に含まれている場合が多いです。

 現在飲んでいる薬に、便秘を引き起こす成分が入っていないか確認しましょう。市販薬は近くのドラックストアの薬剤師に、医療機関でもらっている薬はかかりつけ薬局に相談することをおすすめします。

2.自分の便を確認する

毎日、便の性状を確認しましょう。便秘だと思っていても、実は便秘でないこともあるからです。

例えば、3日に1回しか便が出なくても、便が黄褐色のバナナ状でするりと出る便ならば、便秘とは言いません。

便の状態を確認するには以下のブリストル便性状スケールが便利です。

ブリストル便性状スケール

ブリストル便性状スケール
※出典元:看護roo!

タイプ1に近いほど便秘の状態で、水分不足や食物繊維の不足も考えられます。便の状態を確認し、食事や水分摂取量を見直しましょう。

3.生活習慣を整える

生活習慣を整えることでストレスが減り、便秘が解消されます。ストレスで腸の動きが悪くなるからです。

生活習慣を整えるために以下の3点に注意しましょう。

  • 食事:食物繊維・水分・発酵食品を積極的に摂る
  • 睡眠:6~8時間の睡眠を心がける
  • 運動・マッサージ:軽いウォーキング・腸もみマッサージを取り入れる

食事・睡眠・運動を見直し、生活習慣を整えましょう。

参考:慢性便秘症の診断と治療p.5、セラピストなら知っておきたい病態生理学、厚生労働省健康局総務課「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書

4.整腸剤を服用する

下剤を服用する前に整腸剤を服用しましょう。整腸剤で腸内環境を整えられるからです。

整腸剤は善玉菌が主成分なので、副作用はほとんどありません。ただし、以下の2点に注意しましょう。

  • すぐに効かない
  • 自分に「合う・合わない」整腸剤がある

効果が出始めるまでに、早くても2週間はかかると言われています。効果を感じられなくても続けて飲みましょう。また、整腸剤によっては入っている善玉菌が異なります。自分に合ったものが見つかるまで、いろいろな種類を試してみてください。

整腸剤を使って便秘知らずの体質改善方法を知りたい人はこちら

5.下剤を服用する

「生活習慣を整えて整腸剤飲んでるけど、やっぱり便がでない」という人は下剤を服用してみましょう。

ここでのポイントはクセにならない下剤を服用することです。はじめに刺激性の強い下剤を使ってしまうと、下剤がないと便が出ない状態になってしまうからです。

刺激性の弱いマイルドな下剤から服用しましょう。

以下の市販薬は刺激の弱い酸化マグネシウムという成分の下剤です。Amazonでの評価の高い下剤なので一度手に取ってみてください。

¥1,770 (2023/12/15 13:40時点 | Amazon調べ)

6.医療機関を受診する

クセにならない下剤を服用したけど、「やっぱり出ない」と感じているなら医療機関を受診しましょう。理由は、便秘ではない他の病気の可能性もあるためです。

例えば、腸ねん転(腸がねじれている状態)や大腸がんでも便秘の原因になります。

たかが、便秘とあなどらずに医療機関で専門医に診てもらうことを強くおすすめします。「便秘外来」「消化器内科」のある医療機関を受診してくださいね。

参考:慢性便秘症診療ガイドライン2017

便秘に関するよくある間違い3選

便秘に関するよくある間違いを3つ紹介します。

よくある間違いは以下の3点です。

  • 1日でも出ないと便秘だと感じてしまう
  • 下剤を飲むと痩せると思っている
  • 漢方薬の下剤だから安心と思っている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1日でも出ないと便秘だと感じてしまう

1日でもでないと便秘だと感じてしまいます…

今日1日出なかったからといって不安になる必要はありません。理由は人によって便の回数が違うからです。

例えば、食事量が少ない人は便の回数も少ない傾向です。そのほかに、便に執着のある人(排便強迫神経症)は便秘を訴える傾向があります。過去に排便で辛い経験があり、実際は便秘ではないのに「便を出さないと」という気持ちになっています。

1日出なかったからといって不安になる必要はありません。便が出た回数・日数ではなく、便の性状を確認し便秘かどうかを判断しましょう。

どうしても不安なら、クセになる下剤を飲む前に一度、医療機関の受診をおすすめします。

参考:日本内科学会雑誌 108 巻 1 号慢性便秘症診療ガイドライン2017

下剤を飲むと痩せると思っている

下剤を飲むと痩せるの?

下剤を飲むと痩せるわけではありません。理由は溜まっていた便を一時的に出しただけだからです。

クセになる下剤を飲むと一気に溜まっていた便が出るため痩せた気分になります。しかし、実際は便の重さが減っただけです。

ダイエットの本質は筋肉を増やし、体脂肪を落とすことです。内容物を排出するだけの下剤をダイエット薬にすることは控えましょう。

漢方薬の下剤だから安心と思っている

漢方薬の下剤だから安心して飲めるよね?

漢方薬だからといって安心して飲むのは危険です。理由は漢方薬の下剤もクセになるからです。

有名な市販薬では「タケダ漢方薬便秘薬」があります。主成分のダイオウは腸を刺激して排便をうながすため、長期間服用すると腸が伸びて、自力で便を出せなくなってしまいます。

漢方薬だからといって安心して服用しないでください。

参考:今日の治療薬2022

下剤を飲み過ぎず「するん」と出る体質を目指そう

下剤を長期服用すると、自力で便を出すことが困難になります。

今回は「下剤の飲み過ぎを防ぐ体質改善6STEP」を紹介しました。

体質改善6STEP
  1. 現在服用中の薬を確認する
  2. 自分の便を確認する
  3. 生活習慣を整える
  4. 整腸剤を服用する
  5. 下剤を服用する
  6. 医療機関を受診する

現在、クセになる下剤服用して手放せなくなっている人は療機関を受診することをおすすめします。

今回紹介した方法の6STEPで便が「するん」と出る体質をめざしましょう。

あおい|薬剤師WEBライター
薬剤師2児ママ|【薬剤師歴】病院5年・薬局5年|【その他資格】子育てコーチングアドバイザー・知育アドバイザー|【想い】ママの悩みに寄り添えるライターを目指しています!
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